平成3年に本邦において救急救命士制度が発足後、時代の変遷に伴って特定行為の拡大やメディカルコントロール体制の整備等の様々な改革が実施され、救急救命士を中心とした病院前救急医療体制の充実が図られてきました。さらに、病院内で医師による診療が始まる前の段階からの救急医療体制において、様々な職種が関わるチーム医療の一員として、救急救命士に求められる業務の内容や責任は今後もより重くなってくることが予想されます。
私たちは、救急救命士の医療従事者としての地位を確立し、また、医療従事者の一人として自覚し、自律するために救急救命士自らが自身の活動に関する根拠を集積し、救急救命士の学問を確立しなければなりません。そのために具体的な活動の方策として、救急救命士自らが設立し、運営する救急救命士のための学会が必要と考え、日本病院前救急救命学会を設立しました。
【目的と目標】
1.救急救命士として専門資格の自覚を持ち、自律をする。
救急救命士としての責任を果たすための、理性に裏打ちされたプロフェッションとしての積極的な活動が、今後もさらに求められるようになります。自らが自己研鑽の場を求め、技術・知識を高め、医療に関わるプロフェッショナルとなることを目指します。
2.救急救命士の活動の根拠を構築する。
これまで、救急救命士が活動するための指針はすべて医師によって提示され、救急救命士の活動指針を救急救命士自らが検証・研究する機会は乏しい状況です。このことは活動指針だけではなく救急救命士の資格取得後の教育体制の整備も含めて、救急救命士が自ら解決していかなければならない喫緊の課題です。本学会では事後検証や研究を通じ、救急救命士が行う特定行為を含めた救急救命処置だけではなく、救急救命士の活動全般の根拠を確立して参ります。
3.救急救命士の資格を活かした「社会貢献」を目指す。
救急救命士として自覚を持ち、自律するための活動の根拠、そして救急救命士の「学問」の確立などの目的を達成するために、下記の活動を方針に掲げます。これらの活動を通して、救急救命士のためのみならず、国民の安心・安全、社会貢献に寄与して参ります。
【日本救急救命学会の目的達成のための活動】
(1) 救急救命士が行う処置に関する研究及び調査
(2) 救急救命士の教育に関する研究及び調査
(3) 学術集会の開催
(4) 病院前救急医療に関するガイドラインやプロトコールの研究及び作成
(5) 救急救命士、および病院前救急医療に関わる教育と普及・啓発
(6) 救急救命士によるファーストレスポンダー養成
(7) 国内外における関係諸団体との交流、協力活動
(8) インターネット等による会員相互の情報交換
(9) 機関誌、学術誌等の刊行及び研究資料等の配布
(10) その他、本会の目的達成のために必要な活動
平成26年4月1日